包装と学術
包装は包むものがないと包装できません。包装の開発というのは、包むものの特性をいかにしるかにかかっています。包材とモノとの特性を十分に理解して、最高の包装を生み出すということです。包装学というのは、包装により物の質的向上を達成するために、さまざまな既存の学問領域の知識が必要となります。包装食品を殺菌するということに関して、すでにさまざまな殺菌技術が開発されています。微生物学、殺菌工学、計測工学、電磁気学などなど多くの既存の学問領域で、基礎研究が行われています。食品に関しても、材料学、調理学、食品衛生学、食品科学、食品加工学など研究は常に行われているのです。食品を包装し、殺菌するということは、それに関する知識は膨大に蓄積されたデータから取り出して利用することになります。微生物制御から考えた食品の品質保持は、食品の品質、味や風味を損なわないで安全でなければなりません。そのため、長時間の高温殺菌をしたり、添加物を過剰に利用するというのは、控えるべきです。品質的に優れた製品を作るためにどうしたらよいのか。品質保持の技術と包材との関係、流通条件はどのようなものが望ましいのかといったことを考えることが大切です。包装形態や包装デザイン、廃棄物処理のことを考えるのも同様に大切です。そもそも包装は、原始時代からありました。ひょうたんや椰子の実の殻、葉っぱや木の皮で、物を包んで持ち運びしていました。持ち運びしている最中に発酵して、別の食料になったこともあったようです。原始時代は保存目的というわけではなく、持ち運びのためや、一時的な保存のための包装でした。包装が保存と結びつくのは18世紀末の缶詰や瓶詰めが出てからです。